2012年5月4日金曜日

組織する人を育てる〜訓練士のためのガイド


著者: フィル・バートル教授

和訳:益子かさり


訓練のための配布資料

普通の人をいかに共同体の指揮者にするか?

共同体を組織化することがその強化に最も重要なら、どうやって組織のしかたを人に教えればいいのでしょう?このモジュール内の訓練用の配布資料はこれから共同体の指揮を担うであろう人に必需の規則とスキルを教えます。もしあなたが教師なら、このモジュール内の配布資料をいかに使うか学んでおくべきでしょう。

いつも私たちは、あなたが 訓練方法のモジュールを読むことを勧めます。そこには一般ガイドラインが記されています。一方、この書類では組織化のスキルに重点をおいています。それらのスキルは例えば貿易連合の組織化のスキルや高齢者への対応の訓練スキルなどで成り立ちます。

さらに、 機能性リテラシーのモジュールも読んでおくことを勧めます。そこでは訓練士はただひたすら正統な方法を真似するだけでなく、基礎から新しく斬新な方法を自分で編み出すことが勧められます。

活動のための訓練

この短い配布書類では、訓練士が共同体の市民が実際にいくつかの計画を経験させることで、実技を通して「計画する」ということを学ばせることを勧めます。これはあなたが訓練士を育てる中でも使われる法則です。正統な教育機関では、カリキュラムが作られ、生徒は試験の点数や宿題の完成度で評価をされます。生徒は学んだということを見せ示すことで成功という評価を得ます。

活動のための訓練ではそれとは違い、私たちの育てる訓練士、そして彼らが必要なスキルをどれくらい学んだかは、試験や論文など点数の取り方を見るのではなく、彼らの教習後の活動を見て評価されます。これが非正統な訓練です。私たちが強調するのは、彼らが共同体の市民に実技を通した訓練ができることです。

ですから、あなたが育てる訓練士に、自分たちが共同体の市民なんだと仮想させます。

彼らを組織化し、その「共同体」がどのようなゴールを持つか決めさせ、計画させ、企画をデザインさせます。その計画を中心として考え話し合わせ、(1) 意思決定のための組織化と(2) 活動のための組織化の違いがあることを確かめます。またあなたと一緒に彼らが行った組織化と計画の中での様々な法則を導き出します。訓練ワークショップでは、評価は「いかに良く計画しているか」によって下されるべきです。

あなたの全体の仕事においては、彼らが自分の担当する共同体の市民にいかに良く企画を選んだり計画させようとするかをもとに評価されるべきです。

執行委員会の編成

これは楽しい企画ですが、同時に衝撃的でもあります。少なくとも20人くらいの集団で行うといいでしょう。これは企画デザインや計画の実技のあとに行うか、または同時のセッションで行われると良いです。このモジュールのための訓練はだいたい丸一日(中休みと昼休みを設ける)を使ったセッション1回分で完了します。

基本的にはあなたは教習する集団で観客のいない劇を行います(ワークショップへの来客も傍観するのではなく劇に参加しなければいけません。観客がいると創作意欲や自由な変化の試みが邪魔されてしまいます)。その集団は演技として、自らが共同体であると仮定し、執行委員を選んだり計画を立て、そして企画をデザインしてみます。劇の中では「共同体」の市民全員がこの作業に参加するようなプロットを描きます。その脚本の作業も、演技と同じく大切な訓練の一環です。一般のロールプレイやシミュレーションゲームと同様に、終わったあとに別の時間を設け復習にあて何が起こったかを話し合うことが重要です。そこで問うのは、劇をやった中でどのような教訓が学ばれ実際に現地で使うことが出来るか、です。